「……ね。あかね。茜!」

「う……ん?」

気がつくと、ずいぶんと暗い所にいた。

「大丈夫か?茜」

目の前の影は瞬也のようだ。

ほかにも何か聞こえていた。

しばらくすると目が慣れてきて、いきなり夜になったみたいな空や、都会のようなイルミネーションや、陸橋の上にいることがわかってきた。

瞬也のほかに人の声がしたと思ったのは、アカペラグループのような歌声だった。

陸橋から見下ろしてみると、そのアカペラグループが歌っていた。

「七人か」

私はむしろ、その格好のほうが気になった。

男女入り交じっている。三つ編みも茶髪もいれば、眼鏡をかけた人も仮面の人もいた。

全員が、魔法使いのような格好をしている。

すごくノリの良い曲を、体を揺らして歌っていた。チームワークもいい。

歌いきった時、思わず拍手をしていた。

魔女&魔法使いのアカペラ集団が、私たちを見上げた。


210509-1