デンファレ女王は自室でも、一人苛立っていました。
「どいつもこいつも、私のどこが我が儘なのだ!」

「あの道化だけは、許せん。大勢の前で恥をかかせたんだぞ」

「この、女王デンファレに向かい!」

「いくら、道化とはいえ許せん!」

「やはり、死刑しかない」

そう思った時、部屋の扉がたたかれた。宮女が言いました。
「デンファレ女王。家来が、お話しをしたいとの事ですが、いかがいたしましょう?」

デンファレ女王は「私も思っていた所だ。王の間で待つよう伝えろ」と、言いました。

宮女は「デンファレ女王。かしこまりました」と、言い伝えにいきました。

デンファレ女王も、すぐに王の間に向かいました。


王の間には、家来が一人だけです。
家来は真剣な表情です。
デンファレ女王も真剣な表情で歩きました。

デンファレ女王は玉座に座りふてぶてしく言った。

「何用だ?私の意見は変わらんぞ」

「デンファレ女王。彼は、ただの道化です。差別や偏見の証のようなもの。そんなものにデンファレ女王が、本気になられる事は威厳にかかわります」

「威厳があるからこその、征伐だ。あやつは私を馬鹿にした。それが国王に対する態度か?」

「デンファレ女王。おっしゃる通りです。しかし、デンファレ女王の懐の広さが威厳でもあるのです。国民も、そんな女王だからこそ愛しているのです」

「お前は、何なんだ?奴の友人なのか?違う、お前は私の家来だ!信用しておるのに、反逆者になるつもりか?」

「デ、デンファレ女王。滅相もございません。忠実な家来です。だからこそ、デンファレ女王の事を1番に考えて言っているのです」

「もうよい。今日は疲れた。明日、続きを聞こう」

デンファレ女王は、そう言うと玉座から立ち上がり部屋から出て行きました。

家来はため息が出てしまいましたが「無理に詰め寄るのは逆効果だ」と、今日は諦める事にしました。