「……」

刀を納めつつ、思案に暮れる猛流。

しかし、永久子の中で理由は明白だった。

同じ『黒の者』とはいえ、こいつは女を甚振り、物のように扱い、嬲って陵辱する事を愉悦とした。

永久子の死に様に共通するものがある。

永久子は全ての男に憎悪を抱く。

それは相手が『黒の者』であろうと同じ事。

そんな奴を野放しにするくらいなら。






女を助ける為に己の身を挺す、猛流に加勢する方がまだマシと考えたのかもしれない…。