不完全な完全犯罪・霊感探偵瑞穂誕生【完全版】

 俺は彼女の身辺を捜査することにした。
勿論叔父さんから許可をもらったからだった。
スキンヘッド男性の依頼がまだ生きていたせいもあった。


『なぁ瑞穂どうする? 手打ち金貰っちゃったよ。返さなくちゃダメかな?』
あの時叔父さんは言ってた。


「そのお金で事件の真相を掴もうよ」
俺はそう言って、叔父さんを説得したんだ。


とりあえず、女子会潜入ってことになった。
でも叔父さんの女装なんて見られたもんじゃない。
結局俺だけ……
でもなかった。
若くてチビの、うってつけのがもう一人いた。




 それは木暮悠哉だった。

木暮は草食系で、良く女性と間違えられていたのだった。


叔母さんの三面境の前で、二人は女装した。
実はそれは木暮が言い出したことだった。


「今の支流は女子会だよ。俺も一度行ってみたいな」
って。


それはあの日。
携帯映像の女性を目撃した時だった。


「一週間後か? 出来れば来てみたい」
と言ったんだ。


俺は一人でもやるつもりだった。
だけどついでならと二人分予約しておいたんだ。
勿論、女装してからだけどね。




 「へえー、変われば変わるもんだ」
木暮は女装の出来映えに満足そうだった。


長袖のワンピースにレギンス。


「えっー、合わねー」
木暮がダダをこねる。


「後で解るよ。物凄く歩き易いんだ」

既にベテランの俺は言ってやった。
でも木暮は口をとんがらがせた。
その仕草がみずほに似ていて思わずキューンとなった。


(――おっとイケねー。こんな格好していても、立派な日本男児だったんだ)

まさか、女装の男性にときめくなんて予想外もいいとこだった。


「そう言えば瑞穂、最近伸びてない?」


「それって身長?」

悠哉が頷く。
それを見て俺は気が付いた。


「そう言や、ワンピースの裾が上にきたな」


「そりゃ、洗濯して縮んだんだろ」
叔父さんが意地悪っぽく言った。