「ヒメノ……やっぱり俺は……」
「……っ、聞きたくない! 今更……、んぅ……っ」
まだ朧と付き合っていた時、ケンカする度に朔杜や陣のところへ逃げ込んでた。
そんな時、俺がどうしても我慢出来なくて半ば襲う感じで朔杜とヤッたことがあった。
その後から朔杜の俺への態度が変わり、暫くセフレ状態だったんだ。
朧の事は好きだし信頼してたけど、朧の態度は支配的で独占的で、おまけに自己中。
『朧の音楽』が無ければ、俺も朔杜も陣も、朧には着いて行かなかっただろう。
それくらい、朧の作る曲、朧の奏でる音には魅力があった。
朧が弾くギターが、大好きだった。
朧も、俺の声が好きだといつも言ってた。
けど、アイツはすぐに浮気して女のところに行ってしまう。
それなのに、俺と朔杜の関係に気付いた時は、朔杜に殴り掛かるくらい激怒してた。
それからは、俺も朔杜もお互い微妙な距離感になり……朧と別れた時も、何だかぎくしゃくしてしまっていたんだ。
朧という存在が、俺達にとってどれだけ大きかったか。
嫌でも思い知らされた。


