「何してんだよ」 「黒崎と別れて俺んとこに来い」 「……ヤダ」 「あんな頼りなさそうなヤツのどこがいいんだ」 「朔杜より床上手かもしれねぇよ?」 「誤魔化すな」 「何だっていいじゃん。俺は恭介と居たいんだよ」 朔杜の手を振り払うと、その手は懲りずに伸びて来る。 「……っ、おい、なんなんだよ」 「ヒメノ……」 「……ッ」 今まで見たことないくらい、思い詰めたような表情の朔杜。 狭い車内ではたいして身動きとれなくて、あっという間に大きい手が俺の肩を捕まえた。