プリンセスの憂鬱【BL】(※仮)

 
「──恭介」

「名前で呼ぶな」

「アイツには、名前を呼ばせないのか?」

「……名前で呼ばれんの、嫌いって知ってるだろ。それに2人して『恭介』なんだぜ。気持ち悪いだろ」

「アイツには話してないんだな」

「……うるせぇ」


 名前で呼ばれるのは、嫌いだ。

 本当に、嫌いなんだ。

 だから……。


「話して嫌われるのが怖いんだろ」

「うるせぇって言ってんだろ!」


 俺が怒鳴ると、朔杜は大袈裟に溜息を吐いて俺の手をぐっと引き寄せた。


「嘘はいつか、バレるぞ」

「……嘘は、吐いてない」

「そう思ってるのはお前だけじゃないのか」

「──俺はっ、恭介に、嘘は……言ってない……」


 ただ、まだ話せていないことがあるだけで。