数分走って赤信号で停車した時だ。
ネオンに街灯、テールライトが闇夜にぼうっと浮かび上がる様を何と無く眺めていた俺の手に、朔杜の手が重ねられた。
「……なんだよ」
正面を見ていた俺はワザと視線を逸らして頬杖を突き、助手席側の窓の向こうを見遣る。
「アイツとうまくやってるみたいだな」
「だったらなんだよ」
「いや、別に」
そう言いながらも朔杜の指はゆるゆると動いて、俺の指に、指を絡めて来る。
ゴツゴツとした感触のそれは、以前に何度も俺が縋った手で。
その温かさに不思議な安心感が沸き起こって来た。
けど、今は何だか物足りない。
それが何なのか、具体的には分からないけど、確かに『何かが違う』そう思ったんだ。
多分それは、俺が恭介に依存してしまっているから……。
今の俺は、恭介じゃないとダメだから。


