プリンセスの憂鬱【BL】(※仮)

 
***

 カシャン、という音で目が覚めた。

 恭介が帰って来たみたいだ。

 いつの間にか眠ってしまっていたみたいだけど、異様な程身体が重い。

 起き上がれずに布団に包まったままでいると、程なくして部屋の戸が開いて暗かった部屋に明かりがつけられた。


「ヒメ! どうしたんだよ、大丈夫か?」


 心配そうに俺の顔を覗き込む恭介を見ていたら、目頭が熱くなってきて、涙が零れてしまった。


「……っ!? ほんと、どうしたんだよ。何かあった?」

「恭介……」


 俺の頬に触れている手を取って、衝動のままにその指を食んだ。

 恭介の手は、いつもイイ匂いがする。


「ヒメっ!?」

「恭介……、セックスしよう」

「……え?」

「今は、恭介の事だけ考えたい。お願い……ダメ?」

「……ッ、そんな風に誘われて、断れる訳ないだろ……」


 今の恭介は、俺からの誘いを絶対に断らない。

 それが分かっていても、ダメ? と上目遣いで聞くのは、もうそう言う事がクセになってしまっているからだ。