15歳の誕生日の前日。

私はお兄ちゃんに会うために、電車に乗った。

生まれて初めて、一人で電車に乗った。


お兄ちゃんの住む街へ向かうまでの間に、脱線事故が起こって、私は頭を強打し、記憶喪失になった。

発見された私は、隣の席だったであろう女のひとに守られているように抱き締められていた。

その女のひとが万由子さんだった。


……らしい。



私は事故で記憶を無くしているので、全てお母さんから聞いただけなのだけれど。