裏面ワールドトリップ

「ところで、真琴」


ふと、ハウスドルフさんは顔を曇らせた。


「何でしょう?」


「若い娘ってのは、そう簡単に変な男に引っ掛かるもんなのか?」


「あぁ、あのお姫様ですか。

この場合はモーリッツ4世の〈言葉小人の力〉が強すぎるからじゃ……」


「いや、モーリッツに限らず
女を騙す男ってのはどこにでもいるだろ?


やっぱり、惚れてさえしまえば騙されてても気付かないもんか?」


「そうですねぇ……」


自分の経験になぞらえて考えてみようとしたけれど、そう言えばまともな恋愛をした覚えが無かった。


「たぶん、ですけど……

まだ若い分、人を見る目が無いからその可能性は高いと思います。

お姫様に限らず、庶民の女の子でも」


「そうか」



女のくせに女心を「たぶん」としか説明出来ない自分が、少し情けなかった。