裏面ワールドトリップ

装甲車両はいつしか街を抜け、野菜畑や、家畜が草を食む牧場のそばを走っており

それも過ぎると、白く乾いた荒野に差し掛かった。



「この辺りからクリステラクトだ。

ここも元々は独立した1つの国だったんだが、奴らに占領された」



車の窓からは、この土地の白い砂に覆われた巨大な廃墟や、その周囲に点在する瓦礫の山が見えた。


巨大な廃墟は屋根が崩れ壁もかなり損傷しており、ほぼ柱と桁だけになっている。



「あれか?

この国の神殿……と言うか、神殿『だったもの』だな」


廃墟の正体を尋ねた私に、ハウスドルフさんはそう答えた。


「こうなる前は立派な建物だったんでしょうね」


「そうだな。

昔、1度だけ来た事があったが、確かにすごかったな。


クリステラクト軍が来て、中の祭壇やら何やらは全部壊されて
最後まで抵抗していた神官や魔術師も、捕らえられて処刑された」


「そうだったんですか……」



何とも遣る瀬無い気持ちで、車窓を流れていく廃墟を見送った。



荒涼とした大地に土埃をもうもうと立てて、装甲車両は進んで行く。