ローゼさんの方に目を遣ると、彼女もこちらを見返し

私たちは1秒程、見つめ合った。


――彼女も私と同じ事を考えてるんじゃないだろうか。


ふと、そんな気がした。



「ねぇ、ハウスドルフさん」


ローゼさんは、私とハウスドルフ中尉の顔をそれぞれ見つめてから言った。


「姫様じゃないかしらね?」



やっぱり。



以前からモーリッツ4世に惑わされつつあったお姫様が

あらかじめ侵入経路をクリステラクト側に密告した上でディアマントを部屋へ持ち出し、人払いをして、わざと連れて行かれた

と考えれば、辻褄が合う。


お姫様は言うまでもなく王室の人間だから、ディアマントの保管場所を知っていたとしても不思議は無い。