裏面ワールドトリップ

ハウスドルフ氏は私の前に来ると軍帽を脱ぎ

「バルダクタル軍・王室警備隊、中尉のハウスドルフです。

お力添えに感謝します」

と言って頭を下げた。


礼儀正しく丁寧な態度ではあるけれど、こちらを疑うような気配が言動の端々に感じられる。



中尉というのがどんな階級なのかは知らない。


しかしその猛禽類のような貫禄から、ひょっとしてそこそこ偉い人なんじゃないか……

と推測して、私は少し緊張した。


そんなに歳を取ってるわけでもないから、いわゆる「下級将校」というやつかもしれない。


「あ、どうも。

……あの、そんなに大層な者ではありませんので、どうぞお気遣い無く。


それより、早くお姫様を……」