ごそごそとベッドから起き出す私の気配に、ローゼさんがこちらを振り返った。


「おはよう。よく眠れた?」


「はい」



彼女は寝起きの私にお茶を出すと(甘くないミルクティーだ)、またローブの袖からあの杖を取り出し、さっきまで私が寝ていたベッドの方に向けて一振りした。



ベッドカバーと掛け布団、枕が宙に舞い上がり

シーツの皺が伸び、その上に枕が置かれ、掛け布団とベッドカバーが掛けられ

ものの3秒程で、ベッドがきれいに整う。



呆気に取られる私に笑顔を向けて、ローゼさんは

「年を取ると布団を持ち上げるのも大変なのよね」

と言った。


その瞳がいたずらっぽく輝く。