彼女の落胆ぶりを見ていると

私が申し訳無く思う筋合いは無いのだけれど、何だかすごく気が咎めた。



「がっかりさせてすみません。

でも私、本当にただの普通の人間なんです。


……あ、職場では、そこそこ仕事ぶりを評価されてましたけど」


「職場?」


「デパートに勤めてました」


デパート、という単語を口にした途端、色々な事

――多忙をきわめた販売員としての日々や、会社の倒産、難航する就職活動

そして、過ぎ去ってしまった20代というかけがえのない時代の事――

が次々と脳裏に浮かび、私はひどく惨めな気分になった。