急に、周りの風景が立体感や重量感を帯び、鮮やかさを増した。


お茶のいい香りが鼻腔をくすぐり

テーブルやティーカップに、しっかりとした手触りが生まれる。



改めて、ビスケットをかじってみた。


シロオーロックス(動物の名前?)のチーズは軽い塩味で、ドロップベリーとやらのジャムは木苺に似た甘酸っぱい味がした。



「夢なのに味がある」


「はい。

今、真琴様の夢と現実を入れ替えましたので」


……えっ?!



「どういう事、ですか?」


「真琴様も起きている間はお忙しいかと思いまして
お休みになった際に、夢の中を経て〈こちらの世界〉へお越しいただきました。

わたくしが要所要所で誘導して。


〈通り抜け魔法〉の応用でございます。

言わば、真琴様の夢がこの世界への入り口だったのです」