裏面ワールドトリップ

――私に手を振ってるんだろうか……。


自分の左右と背後、それに上と下を見回して確かめてみる。


……誰もいない。



人影に手を振り返すと、私はそちらへ向かって降りて行った。


ぼんやりとしか見えなかった姿が、少しずつはっきりした形をとり始める。



――おばあさん……?



手を振っているのは、白髪のおばあさんだ。



私は地面にぶつからないよう、ふわりと着地した。



丸太をそのまま組んだ、簡素だけれど小綺麗な家の前に立つ

ふっくらとした顔に、優しそうな目のおばあさん。


ゆったりと全身を包むボルドー色のローブに、
やわらかくカールした髪が鮮やかに映えている。