裏面ワールドトリップ

異世界のナッツをつまみに、ローゼさんと2人でウイスキーを飲んだ。


かりかりと軽い歯触りのナッツは、こくの強いミルクのような味で、ウイスキーによく合った。


ローゼさんは、じきにストレートウイスキーの刺激にも慣れたと見え、実に美味しそうにグラスを傾けている。



この不思議で魅力的な魔法使いのおばあさんに、訊いてみたい事は幾つもあった。


その中からとりあえず1つ、至って月並みであろう質問を投げ掛けてみた。


「ローゼさんは、どうして魔法使いになったんですか?」


「そうねぇ……どうしてだったかしら」


口元からグラスを離して、ローゼさんは遠い目をした。


「別に、大した理由は無かったわねぇ。

面白そうだからやってみたとか、そんな感じよ」


「そんなもんですか」


「そんなもんよ。


この仕事、案外向いてたみたいで
ちょうど30歳のとき、王室で働かないかって誘われたの。

先代の王室付き魔術師が引退するから、その後任にね。


今いるこの家は、先代の仕事場だったものよ。

薬草の世話をするのにも、星を観るのにも、色んな人が訪ねて来るのにも都合がいいし、静かで落ち着いてるから、ここに住む事にしたの」