裏面ワールドトリップ

車は再び、バルダクタルとの国境地帯に差し掛かる。


例の廃墟と化した神殿が、車窓に姿を現した。


かつては独立した国家であったというこの一帯は、今後どうなるのだろう。



出来れば、また元の国として再出発しないだろうか。


この神殿も建て直して。



勿論、大変な事だけど。


そして、私とは全く縁もゆかりも無い国の、神殿なんだけど。



――大丈夫。きっと上手くいく。


何の根拠も無く、しかしなぜかそう確信しながら、私は流れて行く景色を見送った。