裏面ワールドトリップ

「すみませんでした」


もう一度謝ると、ハウスドルフさんはそれに答える代わりに

「ほら、お守り」

と、私にウイスキーの瓶を握らせた。


「手放すんじゃねぇぞ」


「はい……」



瓶のカドに、少量の血がこびりついている。


モーリッツは倒れたままだ。



「死んじゃったんですかね?この人」


「生きたまま身柄確保だからな。

一応、手加減はした」


そう言いながら、ハウスドルフさんは上着のポケットから束ねた太い紐を2本取り出し、モーリッツの両手を器用に縛り上げ、猿ぐつわを噛ませた。