裏面ワールドトリップ

突然、モーリッツに抱き着かれた。


「?!」



……違う。


なぜか意識を失ったモーリッツが、私の体の上に倒れ込んできたのだ。



「……え?」



悪趣味なバスローブの肩越しに、ひょっこりと顔を現したのは、



――ハウスドルフさん。



私のウイスキーの瓶を片手に、うつ伏せに倒れたモーリッツを見下ろしている。


よく見るとモーリッツの後頭部は赤く腫れ上がり、うっすらと血が滲んでいた。



ハウスドルフさんはバスローブの襟を掴み上げると、ぐったりのびきったモーリッツを無造作に床に放り投げた。


それから、白いドレス姿で呆然と横たわる私をほんの一瞬、怪訝そうに見つめ

ふと、表情を険しくして言った。


「無理すんなって言っただろ」


「……すみませんでした」