裏面ワールドトリップ

一方、モーリッツは勝利を確信したのか

嘲るような笑みを浮かべ、私の肩を押さえ付ける手に更に力を込めた。


「貴様の事は、絶望のどん底に叩き落としてから
じっくり時間を掛けて、気が狂うまで苦しめ続けてやる……殺すのはそれからでも遅くない」


――私には何の価値も無い

誰にも愛されない――


振り払っても振り払っても、その声は執拗にまとわりつく。



ふと、胸の中にぽっかりと空洞が生まれるような、奇妙な感覚を覚えた。


熱も音も、そして光も無い乾ききった空洞が、私の体ごと、この空間を急速に侵食していく。