裏面ワールドトリップ

サイドテーブルの前に立った私は、ランプの陰に置かれた物体を前に、思わず息を呑んだ。

メロン程の大きさの球形に切り取られた闇の中に浮かぶ、小さな星屑

そして、その丸い空間の中央で一際輝く、カットが施されたこぶし大の透明な石。



――これが、ディアマント。



手を伸ばし、宇宙の暗闇ごと、そっと抱えてみる。



固さも重さも手触りも、何も無い。


手に持っていても、触れているのかどうかさえ怪しくなってくる。


それでいて、風船のように手からふわりと舞い落ちる事も無い。


私は確かに、感触の無いこの奇妙な物体を、しっかりと手に持っているのだ。



見る者を惹き付けて離さない、まばゆい輝き。


これが宇宙空間なら、ディアマントはまさに引力を有する天体そのもの……


「おのれぇ!」


怒声が聞こえたと同時に、私はベッドに突き飛ばされた。