裏面ワールドトリップ

涙の浮かんだ目をかっと見開き、額に汗を滲ませ

両手で前を押さえたモーリッツが、膝からくずおれていく。



いわゆる「急所」と言うのは、裏表どちらの世界でも共通であるらしい。


予想を遥かに上回る、可哀想なほどの痛がりようではあったが、私は心を鬼にして言った。


「馬鹿にしないでよ!

そんな事より、ディアマントどこにやったの」



私の問い掛けにも答えられず、体を丸めて尚も苦悶し続けるモーリッツの頭上にウイスキーの瓶を振りかざし、私は一層、心を鬼にした。


「答えなさいよ」


「わっ、わかったわかった!

そこ……ベッドの、テ、テーブル……!」


モーリッツは呻き声のような悲鳴のような情けない声で、ディアマントの在りかを白状した。