裏面ワールドトリップ

「……?!


俺の〈言葉小人の力〉を破るとは。

信じられん」


モーリッツが微かに動揺を見せた、一瞬の隙を突いて

私は脳を貫くような鋭い視線を振り切った。



そのまま身を翻し、自らの武器を

――ウイスキーの角瓶を――

高く振り上げる。


「待て、何をする……?!」


体中の力を乗せたフルスイングは

特に狙ったつもりは無かったのだが、まるでそこへ吸い込まれるかのように、真っ直ぐ寸分の狂い無く


モーリッツの股間を直撃した。


「――っ!!」

「あ……」



時間が止まったような気がした。



……いや、そうではない。


止まってしまった時間の流れを、私たち2人は確かに共有した。