裏面ワールドトリップ

この男は当然、私の動揺を見抜いているだろう。


見抜かないはずが無い。



これがモーリッツの真の恐ろしさ

――相手の考えを読み、その心を的確に翻弄する〈言葉小人の力〉――


惑わされちゃ駄目だ。


「……そんな事言って、私を捕まえてお姫様たちと同じように閉じ込めるつもりなんでしょ?」


脱け殻のようになってしまった女性たちの事を思い出しながら、私は必死でモーリッツに抵抗した。


「心配は要らん、閉じ込めたりなどしない」


その必死さも勿論見抜いている、といった様子で、モーリッツは答えた。


「お前の事は正室として迎えよう。

何なら他の姫たちは祖国へ帰してもいい。


はっきり言って俺はもう、若いだけとか可愛いだけの女には飽きていたところだ。

お前のような、少々謎めいた油断のならない女の方が、却って面白い」