裏面ワールドトリップ

更に歩いた所で、また別の足音がこちらへ向かって来るのが聞こえた。


今度は慌てず速やかに、無人の小部屋に隠れようとする――


「真琴、さん……?」


「え?」



小走りで近付いて来るその人物は、私と同じライトグレーの軍服を着ていた。


見覚えのある切れ長の目

鼻筋の通った細面――


「レニー少尉」


「あぁ、良かった」


彼は私の姿を認めると、幾分表情を和らげた。


「ハウスドルフ中尉から連絡を受けまして。

貴女がこちらへ向かってるとの事だったので、迎えに来たんです」