裏面ワールドトリップ

ふと思い付いて、近くにあった部屋の壁を念入りに観察してみた。



壁の一角は蝶番で留められ、取っ手が付けられている。


ドアのように開閉出来るのだ。



今度はそこに手を掛けて、押したり引いたり、強く揺すったりもしてみる。


……が、やはりドアはびくともしなかった。



部屋の中では、若い女性が背もたれの無い椅子に座っている。


無表情な顔をこちらに向けているが、その目は私を見てはいない。



「助けてあげられたら良かったんだけど……」



私は諦めて、その場を立ち去った。


レニー少尉たちと合流する方が先だ。


どのみち私1人では、彼女を連れ帰る事も出来ない。