裏面ワールドトリップ

太い柱状の透明な水晶が、黒光りする長い廊下の両側にずらりと並んでいる。


それらの内部は四畳半ほどの空間になっているらしく

簡素なベッドと洗面台、そしてやはり水晶で出来たドレッサーが、その見るからに分厚そうな壁を通して確認出来た。


若い女性が1人、虚ろな顔でベッドに座っている。



水晶で出来た小部屋――

と言うより、私には牢獄のように思われた。



「何……ここ」


「よその国を侵略したついでにさらって来た、どこかの姫とか貴族の娘たちを監禁してるんだろう」


ハウスドルフさんが、お腹の傷を押さえながら眉をしかめて言った。



怪我をした直後と比べて、明らかに顔色が悪い。


ライトグレーのグルオンスーツには、かなりの量の血が滲んでいる。