裏面ワールドトリップ

私はハウスドルフさんに肩を貸して、黒水晶の階段を1段1段踏みしめて行った。


私に寄り掛かっているとは言え、彼は全方位に目を光らせ、現れた敵は必ず一撃で仕留める。



そうやって進み続ける私の胸には、いつしか不思議な勇気が芽生え始めていた。


私はハウスドルフさんを支え、ハウスドルフさんは私の身を守り、共に任務の遂行を目指す。


最早、不安どころか彼との連帯感が嬉しくさえあった。


何があっても、この人と一緒なら絶対に大丈夫


そう確信出来た。




階段は8階で終わっていた。



「ここが最上階だな」


ほっとした様子でハウスドルフさんが言う。



最後の数段を昇りきろうとした、その時。


私たちの前に、大きな人影が立ちはだかった――


「!!」


私は手で口を抑えて悲鳴をこらえ、ハウスドルフさんは咄嗟に剣を抜く。