裏面ワールドトリップ

シャーフガルベ薬を塗り込むと、背中の出血はすぐに治まった。


薬を塗れなかったお腹の傷には布を当て、包帯を巻き、再びジャケットを着せる。



「ありがとうな、真琴。


さて……」


ハウスドルフさんは私の肩に手を置いた。



――え……何?



「肩を貸してくれ。行くぞ」


ハウスドルフさんはお腹の傷を押さえつつ、私の肩を掴んで立ち上がった。


「……行くぞ、って。

大丈夫なんですか?」


「仕方無いだろ。

こんな所で安静にしてるわけにもいかねえし。


こういう時はな、早く任務を終えて帰るに限る」


「はぁ……」



不安が全く無いと言えば嘘になるけれど、ハウスドルフさんが

――この仕事のプロが

そう言うのなら、彼の指示に従うしかない。