裏面ワールドトリップ

持参したウイスキーで指先を消毒し、ハウスドルフさんの岩のような背中を、屈強な筋肉を

意識しないように努めながら、傷口にそっと薬を塗る。


意識しないようにと言っても、傷がそこにあるのだから、どうしたって視界には入ってしまうし

その鋼のような肉体にだって、嫌でも触れざるを得ないのだが。



余計な事を考えると、顔が火照って脇の下に汗が滲んだ。


私は薬を塗る事だけに意識を集中する。