裏面ワールドトリップ

ハウスドルフさんはシャーフガルベ薬を指先に取り、背中の傷に塗ろうとするが

傷の位置が見えないせいか、なかなか上手くいかないらしい。


彼が腕を曲げたり体を捻ったりする度に、筋肉が軋み隆起する――


いや、だから感心してる場合じゃないのだ。



私は咳払いを1つすると

「……ちょっと、貸してください」

と言って、ハウスドルフさんの手からやや強引に薬瓶を取り上げた。



声が上擦ってしまった事に、気付かれていなければいいのだが。