裏面ワールドトリップ

ハウスドルフさんのお腹から細く鋭い矢を引き抜くと、傷口からは更におびただしい量の血が溢れ出した。



「胴体の止血って、どうするんですか?」


私が尋ねると、彼は

「シャーフガルベ薬が効くんだが……

これで足りるかどうか」

と、顔の前に掲げた薬瓶を睨んだ。


「背中の傷に、優先して塗ったらどうでしょう。

お腹の方は手で押さえられるから」


「それもそうだな」



ハウスドルフさんはポケットからガーゼのような布切れと包帯を取り出すと

何のためらいも無く、私の目の前でグルオンスーツのジャケットを脱ぎ、肌着の裾を捲り上げた。



――おぉ。


逞しく鍛え上げられた肉体に、思わず目が行く。


……いや、感心してる場合ではない。