「大丈夫か?」


ハウスドルフさんに肩を叩かれたミュラー軍曹は、再び小さく呻いた。


「中尉……」


彼は掠れ声で囁くと上着のポケットを探り、シャーフガルベ薬の瓶をハウスドルフさんに差し出した。


ほんの少し――あと1回分あるか無いか――だが、中身が残っている。


「使ってください」


「……すまんな」



ハウスドルフさんが薬を受け取ると、ミュラー軍曹はぐったりと手を下ろした。



「真琴、矢を抜くの手伝ってくれ」


彼は周囲の安全をさっと確認すると、その場に腰を下ろした。