「真琴……」


ハウスドルフさんに声を掛けられ、私は我に返った。


「怪我しなかったか?」


「私は大丈夫だけど……」


問題はハウスドルフさんである。



背中から突き出した、透明な水晶の矢。


その鋭い矢尻は彼の体を貫通し、お腹の所にも真っ赤な血を滲ませていた。


「グルオンスーツは打撃も火も通さないんだが、これが唯一の欠点なんだよな……」



同じく背中に矢を受けたミュラー軍曹は、うつ伏せに倒れたまま動かない。



足元には飛び散ったシャーフガルベ薬。



ハウスドルフさんは瓶の破片を見下ろして、小さな溜め息をついた。


それから、体に矢が刺さったままミュラー軍曹のそばに寄り、膝をつく。