……あつい。

今日何度も口にし、そして思った言葉を懲りずにまた胸の中で呟いた。

一応まだ6月だってのに、なんだこの気温の高さは。これが地球温暖化ってやつかと考えながら、カチカチとゲームのコントローラーを操作する。

──だけど背中にかかる重みとぬくもりは、全然嫌じゃない。



「ねぇ、悠介ー」

「んー?」



ちょうどテレビに向かっている俺と背中同士をくっつけて、何をするともなく窓の外を見上げていた琴里。

そんな彼女に名前を呼ばれ、俺はゲーム画面から目を離さないまま返事をした。



「ゆーすけー」

「お、」



次に名前を呼ばれたと同時に、ぐっと背中に体重をかけられた。

少し前のめりになりながら、俺は正面を向いたまま片手を後ろにまわし、彼女の手を掴む。



「どーしたん琴里、ヒマ?」

「……んー。ゆーすけー」



掴んだ片手をにぎにぎと動かしつつ、会話をする。

質問に対する答えは返ってくることなく、もう1度名前を呼ばれて、俺は今度こそゲームの電源を切った。