「嫌いじゃない、苦手なんだ。だから会長くん、食べてください。」



小学校の頃、給食に出たトマトはすべてトマト好きの友達の胃袋におさまった。


たまにいるよね、トマトばっかおぼんにゴロゴロ転がしてる子。


あの時ばかりは普段冴えない顔したあの子も、あたしにとってはヒーローだったね。




「えーっと、オレもちょっと…」


「会長くんもトマト嫌いなの?!」


「…今完全に嫌いって言ったよな。」


「うるさいよ西野くん!え、会長くんもトマトダメなの?仲間?つまり仲間ってこと?」


「…恥ずかしながら、トマトだけが唯一苦手でして。」



わぁ!意外な弱点発覚だね!

しかも子どもが苦手な食べ物の王道がダメだなんて!



「お子様だな。」


「…別に食べれないことはない。バカにするな。」


「じゃあこれ食ってあげれば?」


「それは遠慮する。」


「即答かよ。」