「あ、のぞみセンセーだー」



昼休み、飲み物を買おうと廊下に出たとき、後ろから知った声をかけられた。

この気の抜けるような声はひぐち君だ。




「あらひぐちく…ひぐち君?!」


「ん?どーしたのそんなに慌てて?」



振り向くと、いつものヘラっとした笑顔で手をふるひぐち君が。


でも、その口の端はいつもと違い、赤い体液で染まっていた。



「血が出てるよ!!」



思わず指をさしてしまったが、緊急事態だから仕方ないという事にしておこう。



「あー、さっきちょっとね。別に平気だよ?心配するようなことでもないでしょ。」



なんてことはないように言ったひぐち君だが、心配はさせてもらいますよ。