笑顔でそう言い、ドアの向こうに消えたのぞみ先生。


生徒会室に沈黙が訪れる。




「嵐だなあの人は。」


「一瞬で去りましたね。」


「でも、やっぱすごいな。」


「会長、帰れなんて言わないで、仕事分けてください。あたしたちだって宇田くんのフォローくらいできますよ。」


「これで会長が倒れたら、それこそフォロー難しいんですから、宇田くんの時点で止めておきましょう。」


「本末転倒ってやつだな!」


「お前それ言いたかっただけだろ。」


「ばれたか。」



役員が口々に言う言葉が、頭の中を通って抜けて行く。


なんだ、みんな俺に気を遣っていたわけじゃなくて、手伝いたいと思ってくれていたのか。


なぜ、長い時間一緒にいる俺にはわからなくて、一瞬の先生にはわかったんだ。



「あれ?会長ー?」


「なんで、先生にはわかるんだろうな…」


「それはほら、あたしが先生とよく話すからじゃないですか?」


「オレだってしょっちゅう立ち話してるけどな。」


「いや、おれの方が先生と色々な話してるから。」