「なーに黄昏てるんだい?」



ある日の放課後、夕日に照らされる校庭を生徒会室の窓から眺めていると、後ろから陽気な声が話しかけて来た。




「っ!…いつの間に入ってきたんですか?」


完全に気を抜いていたオレは、その声に盛大に肩を揺らしてしまった。

不覚だ。



「んふふーさっきの間にだよ。会長くんここにいるって相原さんに聞いたから来たのに、ノックしても返事がないんだもーん。」


「…返事がないならそのまま去るべきじゃないですか?」



普通にノックに気づかなかったオレが悪いのだが、なにやらニヤニヤしている先生を見ると素直に謝りにくい。


この顔は、何か録でもないことを考えているに違いない。




「まぁまぁ、そう堅いこと言わないの。あれだね、会長くんがビックリした顔ってレアだね!そんなにビックリした?」



やっぱり、くだらないことを考えていたか。

オレだって人間だ。

完全に気を抜いているときに、急に背後から話しかけられれば驚きもする。




「先生はオレをなんだと思ってるんです?ビックリくらいしますよ?」


「だってー、珍しいじゃん?会長くんのビックリ顏。」



なにがそんなに楽しいんだか。

無邪気にクスクス笑う先生を見ていると、完全に毒気を抜かれてしまう。


先生が楽しいならそれでいっか、みたいな。