「こっちが本物。疲れた時には甘いものだよね!」
昔ながらのミルク味のあめと、イチゴの柄の三角形のあめ。
間違えて渡されたゴミはまた先生のポケットに帰って行った。
「ありがとうございます。いただきます。」
「うんうん。いただいて。じゃあもうお邪魔になっちゃうから先生はお暇しますね。」
本当に顔を出しにきただけのようで、すでにドアに向かう先生。
顧問以外はあまりこない生徒会室で、のぞみ先生の訪問回数が断トツで多いのは、こういった無意味なように見えるやり取りのおかげだ。
俺や役員たちからすると、無意味だなんて嘘でも言えないが。
だって、
「先生。」
「ん?どーしたよ?」
「先生のおかげで元気でました。ありがとうございます。」
みんな、先生に元気をもらってるから。
こんな何気無いやり取りの中に、先生の優しさを感じているから。
「…そんな改まって言われると照れるなー。こちらこそ、みんなの顔見たら元気でたよ!
あ、会長くん、みんなにももっと仕事分けてあげてね!みんな手伝いたいみたいだから!」

