このワンコは、高校の時の経験から、学校の先生を目指すと言って凌斗さんと同じ大学の教育学部に入学した。

つまり頭いいってことね。


で、今年大学4年で、夏に教員採用試験があるはずなのさ。

あたしが人生で一番勉強したんじゃないかと言うくらい勉強した、あの試験。


この子は頭いいから、筆記は問題ないと思うけど、面接とか討論とか、そっち系が心配だ。



「勉強は、大学にこもって友だちと頑張ってますよ。ただ、面接が一次にあるんで、それがちょっと…」


「やっぱりな。あんた、メンタルあんまり強くないんだから、面接官にいじめられて落ちたなんてことないようにちゃんと準備しとくんだよ?」


「そ、そんなにストレートに言わなくてもいいじゃないですかぁ…」


「ほら、そう言うところだぞ!何を言われても動じないくらいの強気でいかなきゃ!」


「…俺そういうのすごい苦手なんですけど…」


「何を言ってんのよ。高校の時と比べて、あんた強くなってんでしょ?」


「でも……」


本当にこういうところ、変わってないなぁ。

自分に自信が持てなくて、よわよわ発言が多い。そんな弱気になんなくたって、彼方は充分強くなってるのに。自分では気付けないんだよな。



「彼方なら大丈夫だよ。絶対に良い先生になれる。だから、がんばりな。」



そんな君には魔法の言葉を。

あたしが背中押してやるんだ、頑張ってもらわないとね。



「…のぞみ先輩の後輩のポジションでいるためにもがんばります。」



そんなんなくても先輩やめるつもりないんだけどな…まぁ、頑張れるならなんでもいいか。



END