「黒って無難に見えて着こなすの難しいよねー。あたしとか黒着たら野暮ったくなっちゃうもんよ。」


「ツバサくんはイケメンですからねー奥さん。なんでもスマートに着こなすんですよこの子ー。」


「スタイルも抜群ですものねー奥さん。」


「…なんだよその感じ。褒めたいの?貶したいの?」



ひぐち君とコソコソ聞こえる様に話していると、西野くんが冷たーい目でこっちを見ている。

褒めてるのになー。



「でもさ、黒以外の西野くんも見てみたい!」


「オレの服貸そうか?なかなかの色味だよ?」


「ひぐち君はそれが似合うからすごいよな。」


確かこの間はカラフルなパーカーだった。あれは派手派手だ。

似合ってたけど。



「和樹のは着れねーよ。新境地すぎる」


「いーじゃん!新境地開拓しようよ!」


「断る。絶対いやだ。」


「絶対似合うと思うのになぁ。」


「……センセーが買い物に付き合ってくれるなら買いに行ってもいいけどね」


「なにそれ面白そう!オレも行く!」


「いやぁ、さすがに一緒にお買い物は難しいでしょうよ。先生怒られちゃうわ。」


「そうだよねー。…じゃあ作戦考えておくね!」



そういう話じゃないんではないでしょうかひぐち君よい。


でもこの子のことだから本気で考えちゃうんだろうな。

なにが楽しくて教師と買い物に行きたがるんだか。



そしてその週の日曜日、凌斗さんと出かけた先に偶然いた西野くんとひぐち君と鉢合わせたのは、また別の話。




END