「…という事があったんだよ。人の絵を見て笑うなんてみんなヒドイだろ?」
「…なんでそれを俺にいうんだよ。」
「兄ちゃん夏芽に言っといてよ。失礼だぞー!って。あと先生が嘆き悲しんでたぞって。」
「…本人に直接いえ。」
あぁ冷たいなぁこのお兄さんは。
昼休み。もはやあたしの城と化している英語科の準備室で課題のチェック片手にお弁当を食べていると、ふらりとやって来た武藤くん。
あたしの家にみんなで遊びに来た二日後、登校してきた武藤くんの黒髪に学校が震撼したのは記憶に新しい。
ちなみに、あたしは準備室だが、他の英語科の先生は、英語科研究室というここの隣、英語担当の先生に割り当てられた部屋で仕事をしています。
あたしは諸事情(他の先生が西野くんたちを煙たがるせい)により、準備室(またの名を物置)を1人快適に使わせて頂いております。
たまに、こうして武藤くんや夏芽や会長くんなんかが遊びに来てくれる、とても居心地の良い空間なのです。
「今日の絵は上手に描けたとおもうんだけどなー。」
「あぁそうかい。」
「本当だよ?武藤くん疑ってんだろー」
「別に疑ってないってか、あんま興味ないわ。」