「な、うぇ、…泣いてしまった!」


泣かずにお見送りしようと思ってたのに!



「泣いてしまったって…反応が斬新だな」

「泣いてないもん!とかじゃないんだね」




武藤くんとひぐち君に呆れられてしまったがまぁそれも最後だと思ったら許してあげちゃうよ。



「で、なんでセンセー泣いてんの?どうした?」


西野くん…そんな優しい感じ出してくるなよこの局面で!
もっと泣けてきちゃうじゃないか!


「みんなにもう簡単には会えなくなるんだなーって思ったら、涙腺が勝手に活動してしまっただけの話ですよ。なんていうか、うん、みんなも寂しいかもしれないけど、先生もそれ以上に寂しいのよ。それこそ泣いちゃうくらいにはね」



だって、この騒がしさが明日からは消えてしまうんでしょう?

そんなの静かすぎて悲しい。



「先生にそう思ってもらえるだけで、オレは幸せです」

「センセーが悲しくないように顔見せるからさ、安心してね!」

「オレの料理食いたいんだろ?ちゃんと一人前になって、また来るから」

「バイト先には来るなよ。…冷やかしじゃなくて、客としてならいいけど」




あぁもうなんだこの愛らしい生徒たちは!

あたしはこんな素敵な生徒に出会えて、なんて幸せ者なんだ!


やっぱりみんなには、おめでとうよりも…




「あたしと出会ってくれてありがとう!先生は幸せ者です!!」





最高のありがとうを。






END