「びっ…くりするなぁもう。何の音だよ」



冬の寒さが厳しくなってきたとある放課後。

寒い寒いと廊下を歩いていると、がったーん!と大きな音が廊下に響いて思わず肩を上下させてしまった。



誰も見ていないところで大げさに驚くと、その後に無性に恥ずかしくなるのはなんでだろう。


そして誰もいない空間にその恥ずかしさをぶつけるがごとく独り言をつぶやき、また恥ずかしくなった。



「…のぞみ先生のせいだ」


音の出処はどうやらのぞみ先生の城、英語科準備室のようで、完全なる八つ当たりだがこの恥ずかしさはのぞみ先生にぶつけてやろう。



英語科準備室に足を進めると、さらにバサバサッと何かが落ちる音が響いた。


あの先生はまた何をやらかしたのだろうか。




「失礼しまー…す?のぞみ先生?」



準備室の中は、想像していた以上に惨状と化していた。