「西野くん、ココ、まつげ付いてるよ」


「ん?どこ?」


放課後、今日も西野くんとひぐち君と勉強をしていた。

ひぐち君が飲み物を買ってくるというので一旦休憩となった時、正面に座る西野くんのほっぺたに付いているまつげに気付いた。


「とったげるよ」


手を伸ばし、まつげをとってあげる。

そこで気付いた事がひとつ。



「西野くんってそれ地毛なんだよね?」


「ん?そーだけど?」


「まつげも茶色なのか…外人の遺伝子すごいな。ちょっと目ぇとじて」




その素敵な色のまつげをよく見せておくれよ。


あたしの周りは人工的金髪茶髪赤髪はいたけど、みんな純日本人ばっかりだからこういうナチュラルなのは初めて見るんだよ。




「…そんなマジマジ見られると気まずいんですけど」


「そう言わずに、さぁ目を閉じてー」


そう言うと、渋々ながらも目を閉じてくれた。

目元を縁取るまつげは、やっぱりきれいな茶色で、色白な西野くんの肌に良く似合う色だ。



「もういいだろ。恥ずかしいからやめ」


「いやー、いい色だね。素敵素敵!髪も、サラサラで綺麗だし、羨ましい限りですな」


指通りの良い髪をわしゃわしゃすると、恥ずかしがったのかペイっと払われてしまった。


「ぐ、ぐちゃぐちゃになんだろ」

「セットし直せばいいじゃないの」



ニヤニヤ笑えば、諦めたのか問題集に顔を向ける西野くん。


「休憩終了ですかお兄さん」

「終了です」


その耳が赤くなっていたことは、気づかなかったということにしてあげよう。




END