「俺?んなのないよ?」


「あるよ!凌斗さん必殺スマイルがあるよ!」


「…なにそれ?」


「え、凌斗さんの輝く笑顔で周りの人をたらしこんでるあれですよ!必殺スマイル!」



たらしこんでるとはなんとも人聞きの悪いことを言う。


てが、それを言ったら希美のほうがいろいろとたらしこんでると思うんだけど。



「それだと不良に囲まれたときは使えないじゃん」


「使えますよー。囲まれた状態で凌斗さんがにっこり笑ったら不良もビビって道を開けますよ?」


それは確かにそうかもしれないが、なんか必殺技って感じではないでしょうに。



「それなら、俺からしたら希美の方が必殺技持ってると思うけど」


「どんなですか?」


「それはほら、俺をたらしこんだ時みたいな悩殺スマイルでしょ。今だってその悩殺スマイルで生徒たちの人気者のくせに」



知ってるんだぞー生徒たちと毎日仲良く騒いでること。

全く、いい先生だよ。



「あたしはもっと、かっこいい必殺技がほしいんだけどなー」


「希美は今のままで充分かっこいいと思うぞ。だからそんな技とかいらない」


「うーん。まぁそういうことにしておいてあげましょう。気のコントロールには集中力と精神力と修行が必要だしな」


「そうそう。希美はそれを子どもたちのために使ってあげなきゃなんないでしょ?」


うむうむと一人頷く希美に、ほっと一息つく。




…よかった。水見式とかやり始めなくて。



「あ、一回水見式だけやってみてもいい?」


「……ダメです。」



END